天皇を戴く商人國家

天皇を戴く商人國家
 四十餘年も平和が續いたものだから、日本人はなぜ軍隊が必要かについて眞面目に考へなかつた。同樣に、六十餘年も立派な天皇を戴いたものだから、なぜ天皇を戴くかについても知的怠惰の安逸を貪つてゐたのである。すなはち、天皇を戴く事と吾々の道徳的な生き方とはどこでどう繋がるのか、さういふ事が殆ど論じられてゐない。なぜ吾々は天皇を戴くのか。「尊皇節」に醉拂ふだけの言論も、天皇の戰爭責任を追及する愚かな言論もこの問ひに充分に答へてゐない。天皇を戴く事と吾々の文化、傳統及び道徳的な生き方とは切り離せない。天皇に關する知的怠惰はそのまま「無魂洋才」のぐうたらに通じると主張する異色の天皇論。

第1章 今も昔も變らない
第2章 文化摩擦こそ厄介千萬
第3章 何のための勤勉か
第4章 臣民教育が復活する
第5章 夜郎自大・金錢萬能の國
第6章 宮中祭祀は時代錯誤か
第7章 祭祀無くして真摯無し
第8章 惡しき天皇も天皇か
第9章 天皇論議の政治主義
第10章 日本には哲學が無い
第11章 修身齋家治國平天下といふ事
第12章 なぜ天皇を戴くか

平成元年六月 地球社 定價2,200圓
ISBN4-8049-8029-8
 


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